2025. 01. 03
学術関連
鳴戸助教の硬膜動静脈瘻のMRI所見に関する論文が、Academic Radiology に掲載されました。
今回の論文では、上矢状静脈洞(SSS)が関与する硬膜動静脈瘻(DAVF)の診断において、中硬膜動脈(MMA)の画像所見が有用である可能性を検討しました。SSSが関与するDAVFの確定診断には一般的に、カテーテルを用いた血管造影検査が用いられますが、侵襲的で合併症のリスクもあります。そのため非侵襲的な画像検査による適切な評価が求められますが、SSSが関与するDAVFの画像診断は難しいとされています。
ルーチンのMRA画像において、SSSが関与するDAVFの主要な栄養血管であるMMAが画像の上端まで先細りせず連続的に描出される「MMAサイン」に注目しました。このサインがSSSの関与するDAVFの診断に有用であるかを検証するため、18名のDAVF患者と871名のコントロール群を比較しました。SSSが関与するDAVF患者の94%(17/18名)でこのMMAサインが観察された一方で、コントロール群では1.5%(13/871名)でした。
この結果から、MMAサインはSSSが関与するDAVFを疑う重要な画像所見である可能性が示されました。今回の研究には対象の偏りやサンプルサイズの小ささといった限界もあり、さらなる検証が必要ですが、MMAサインを指摘することで追加の検査が必要な患者をより正確に判別できる可能性があります。
Acad Radiol. 2024 Sep;31(9):3749-3753.
doi: 10.1016/j.acra.2024.02.037.